時間を有効に使うということでいえば、自宅でできる仕事が一番ですね。難しい法律を勉強したり、技術を身につけたりということには二の足を踏むという方でも、趣味や特技を活かして仕事につながればいうことなしでしょう。デザインや絵を描くことが得意という方なら「POPデザイン」。本を読むことが好きという方なら「校正」。また、字を書くのが上手、書道の免状を持っているという方なら「賞状書法」など。これらは一定のコツやテクニックさえマスターしてしまえば、自分のセンスでできるものです。
たとえばPOPデザイン。スーパーやお店で、「この表示分かりにくい」「もっと安さをアピールすればいいのに」といったことを感じることがあるでしょう。「私ならこうするのに」といったアイデアを形にするのがPOPデザインなのです。こう考えれば、自分でもできそうな気がしませんか。家事の合間、子供が寝ている時間など、時間の使い方も自分次第にできるのも利点。仕事を見つけるには自分から積極的に働きかける必要がありますが、求人広告をマメにチェックしたり、近所のお店や知りあいに声をかけて、最初は小さな仕事カら始める人が多いようです。
ここで、気をつけておかなければいけないのは、資格にもはやりすたりがあるということです。「いま、もっとも注目されている」といわれている資格でも、1年後、2年後は同じ社会的評価を得ているとは限りません。また、社会のニーズに合わせて、新しい資格も生まれてきています。資格を選ぶには、社会のニーズや状況を判断することも大切です。常にアンテナを張って、自分が取りたいと思う資格が、取得後に活かせるのかどうかを見極めましょう。
それでは、資格を上手に活かすためのコツを教えましょう。といっても、要は「私はこの資格を持っている」とアピールすることが肝心なのです。
いくら資格を取っても、それを周囲に認めさせなければ、わかっているのは自分だけという状態のままです。特に、会社でのステップアップに、と考えて資格を取った人ならなおのこと、どんどん売り込んだ方が勝ちというものです。まして「取得するのが大変だ」といわれている資格なら、上司のあなたを見る目もわるはずです
専門学校やセミナーなどの取得手段を使った人なら、学校で就職先を紹介してくれることもあります。また、同じ目的を持ってがんばった友人と協力し合い、人脈を駆使して、自分たちを売りこめば、効果も2倍。「1人で売りこむのはちょっと……」という人でも、友だちと一緒なら尻込みしないで、できるのでは?
スペシャリストを目指すあなたなら、人材派遣に登録するのもよい方法でしょう。人材派遣は所有資格や経験がシビアに時給に表れます。いまの自分の企業評価がおのずとわかるというわけ。もちろん、景気にも左右されますから、あまり高くなくても落ちこまないこと。経験の少なさは所有資格でカバーできますが、ただ単に経験を積み重ねただけでは、そのうち給料が横ばいということも考えられます。さらなるステップアップの方法も考えておく方がよいでしょう。
目的を達成するには、その目的に沿った、しかも自分に適した資格をまず選択することが必要でした。では、取得したらそれでいいのでしょうか。再就職や転職の場合は、資格の裏づけとなる実務経験や実務能力が、場合によっては実績も必要です。ない場合は、その後の努力や吸収力によって、早期に実務能力を身につける意欲と意思を伝えます。または、アルバイトやパートなどで実務経験を積んでからのステップアップも一つの方法でしょう。その場合は、実務経験を積んだことも含めて応募書類や面接で表現することが必要です。就職の場合は、応募書類や面接で取得した資格を表現することで向上心や意欲を示すことになりますが、実務経験が伴いませんから、資格に頼りすぎないことが重要です。
社内でのステップアップの場合は、取得したことを上司や人事担当者にアピールすることが必要です。
目標管理制度、自己申告制度や社内FA制度等の人事制度があるなら、目標としての資格取得、目標達成の結果である資格取得、転属の一つの要素としての資格取得を記載します。そのような制度がない場合は、人事考課の際にアピールしましょう。企業によっては、自己啓発・キャリア開発の費用の一部負担や取得・受講のための休暇を与えています。資格手当がある企業では、直接的に収入がアップします。たとえ、資格手当が出ない企業であっても、自主的な自己啓発は高く評価されます。目的がなんであれ、資格を取得したこと、その取得で得たものを表現することが重要です。それが目的を達成する、資格を武器とする第一歩なのです。表現しなければ伝わらないと心得ましょう。
就職・転職・再就職の場合、求人情報を正確に読むことが必要です。人それぞれ価値観が違いますから、求人情報の何を重視するかは違います。これだけは譲れないというものがあれば、それを明確にしておきましょう。しかし、勤務条件のみにこだわって、実際の業務内容のチェックを怠るとしたら、「ミスマッチ」に陥るだけです。その仕事をすることがつらくなる、続かない、結局退職することになれば、また就職活動を再開しなければなりません。自分で条件をせばめていないか、高望みしていないかをチェックすることが必要です。もし、給料だけが問題で業務内容その他が自分に適しているのなら、応募をお勧めします。あまりに高額な報酬を提示している仕事は、高度なレベルを要求する、激務である、ノルマがきつい可能性があります。また、希望より少し低いというのであれば、入社後アップする可能性があります。最低限、どのくらいの収入があれば生活できるかを試算したうえで、それを下限として求人情報をチェックしましょう。求人情報上の業務内容は、あくまで企業側が書いたものです。同じ職業でも、企業によって、内容・レベル・担当範囲が違います。
また、所属部署名が必ずしも業務内容を表わしているとは限りません。実際の業務内容や会社概要を、求人情報をきちんと読むのはもちろんのこと、会社案内・ホームページ・口コミや問い合わせ・会社訪問・面接によって、確認しましょう。
多くの人に就業機会を与えるために、以前に比べて年齢制限がゆるやかになっています。それでも年齢制限を越える場合、実際その仕事の実務能力があり、やりたいのであれば、ぜひ応募してください。ただし、その実務能力や経験、実績、そして意欲・熱意を応募書類や面接で表現しなければなりません。年齢と給料の幅がある場合、どの年齢でも、一番低い額を覚悟のうえ、応募してください年功序列型賃金制度は崩れているのです。何歳だからではなく、この業務内容だからこの金額と心得ましょう。実務能力や意欲を表現したことで、結果的に想定外の業務内容・責任範囲を担当することになり、高い額で確定した人もいます。特に、中高年の再就職希望者は、前職での給料や肩書き、地位にこだわることなく、求人情報を読むことが不可欠です。職場の上司が自分より年下であり、たとえ肩書きがあっても部下はいない、雑務も自分の仕事であることを認めることが肝心です。また、男女雇用機会均等法によって、特別の仕事を除き、男女の指定ができなくなりました。看護婦から看護師に、保母から保育士にと、資格名が変わったことにも表われています。そのため、応募や就業の機会は増えましたが、職場の人員構成、相当の体力や体格のよさの必要性の有無、従来からの慣習等により、実際は雇用の可能性が低い場合があります。ただし、可能性がゼロではありませんから、低いことを覚悟のうえで、自己アピールすれば打開できるかもしれません。