代行会社の正社員として就職した場合は給与が月給制になりますが、派遣スタッフの多くが時給制です。フルタイム勤務であれば各種社会労働保険に代行、派遣会社にて加入します。ただし、勤務日数や派遣期間などの諸条件によります。
派遣のしくみは、派遣社員、派遣会社、派遣先の企業の三者の関係で成り立っています。派遣社員として働く場合、給料は雇い主である派遣会社(派遣元)から支払われます。勤務先は、派遣会社と契約している派遣先企業となります。つまり、雇い主と勤務先が違うのが大きな特徴です。派遣会社は、企業との間に派遣契約を結んでおり、社員を派遣した場合に派遣料をもらうしくみになっています。派遣先の企業にとっては、必要な人材を必要な期間だけ確保することができるほか、採用や研修、教育などにかかる費用を減らすことができるというメリットがあります。また、派遣社員の中でも一般派遣と特定派遣の2種類にわかれます。一般派遣は、登録型派遣ともよばれています。派遣社員として働きたい人が派遣会社に登録し、派遣先が決まった時点で派遣会社との雇用契約が成立するというポピュラーなスタイルです。派遣期間終了と同時に、雇用契約も終了します。一方、特定派遣とは、派遣会社と正社員、または契約社員として雇用契約を結ぶ方法で、派遣先が決まっていなくても安定した収入を得ることができます。
派遣社員にとって最大のメリットは、勤務地や勤務形態、仕事内容などを吟味した上で、働くかどうか決められることでしょう。派遣会社が自分の希望に合った企業を探してくれ、その中から自由に選ぶことができるため、効率よく就職活動ができるともいえます。正社員の場合、たとえ希望どおりの職種や部署の就けたとしても、会社の事情で異動があったり、待遇が変わることもあります。派遣社員であれば、仕事内容や待遇は契約によってしっかり決められるので、変わることはありません。「週休2日は譲れない」というように、自分の生活をベースにして勤務先を選べます。
派遣社員の場合、正社員と比べて残業時間や休日出勤が少ないといえます。そのため、時間を有効に使いたい人には便利な働き方でしょう。ただし、なかには契約内容に多少の残業ありとする派遣先もあります。その場合は、残業代が出るかどうか、契約条件を明確にしておいた方がよいでしょう。また、休日も派遣先の都合に合わせて設定されることが多いので、事前にきちんと確認をしましょう。正社員の代わりに派遣社員を採用しているところでは、派遣先の意向はもちろん、日々の業務を一緒にこなすスタッフと譲り合いながら休日を決める心遣いが必要です。
多くの派遣会社では、派遣社員のスキルアップのために研修制度を設けています。パソコンやマナーなど実務で役立つ講座を定期的に開催したり、スクールと提携して割引の受講料で通えるなどさまざまです。
派遣社員でも、フルタイム勤務であれば雇用保険や労災保険、健康保険、厚生年金に加入できることがあります。その場合は、派遣会社で加入をすることになりますが、契約後すぐに保険に入れるかどうか、事前に確かめた方がよいでしょう。
労働基準法により、6カ月間同じ職場に継続勤務し、全8割以上出勤した場合は10日間以上の年次有給休暇が与えられます。ただし、派遣先のほかのスタッフの都合も考え、上手にとる必要があるでしょう。
派遣社員が同じ派遣先で働ける期間は最長3年でした。それが2004年の労働者派遣法の改正により、医療事務を含む罰職種の労働期間の上限がなくなり、派遣先と派遣社員との条件が合えば、ずっと同じ職場で働けるようになりました。
派遣は、自由に勤務先を選ぶことができるという反面、リスクもあります。一般派遣の場合、登録しているだけでは給与が出ないため、契約が決まっていなければ収入はありません。また、派遣社員の給与はほとんどが時給制のため、休日が多いときも収入がぐっと減ります。
派遣社員は、時給に交通費が含まれ、別途支給はなしという場合がほとんどです。交通費の支給があるかどうかで、給与の手取りの額が違ってくるため、事前に確認しましょう。
派遣社員の場合は、賞与が支給されません。まとまった収入がないため、年収も正社員より少なくなります。自分のスタイルで働ける分、給与面では大きく差が出るといえるでしょう。
派遣社員で12月に勤務していない場合、その年に契約した派遣会社すべてから源泉徴収書をもらい確定申告をする必要があります。12月に勤務しれば、そのときに契約している派遣会社が年末調整をしてくれます。
社内の人員を削減し、経営を合理化のためのアウトソーシング(外部委託)化が進んでいるのは一般企業だけではありません。たとえば、医療機関の中でもベッドのシーツなどのクリーニング、注射器などの医療廃棄物の処理、院内の清掃、患者の給食などの業務は、すでにほとんどが外部の企業に委託しています。それらの部門に続き、最近伸びているのが、医療事務のアウトソーシング化です。外来受付や電話応対、医事コンピュータの入力、レセプト業務などを、派遣社員に任せることが多くなっているため、派遣のニーズは高まっているといえるでしょう。
派遣社員は、どんな業種でも給与は時給制になります。医療事務の時給は、一般事務と同じ水準の1000~1200円が多いようです。即戦力が要求される派遣社員ですが、未経験可の場合もあり、その際は1000円前後に時給が下がります。
派遣会社にくる求人で多いのは、病院や診療所です。なかでも多いのが歯科医院。比較的忙しい時間帯だけ、月末月初のレセプト業務だけなど、仕事内容、勤務形態もさまざま。正社員の募集が多い調剤薬局では、派遣の求人は少ないようです。
派遣社員の場合は、医療器間の忙しい時間帯だけの短時間勤務も可能です。たとえば、会社帰りの患者が多い15時~19時までや、8時から12時までの午前中のみなどです。また、期間でくぎるという働き方もできます。募集が多いのは、月末月初のレセプト業務繁忙期。それほど高い時給は望めませんが、毎月7日~10日間だけという働き方ができます。しかも、仕事のある時期がはっきりしているため、予定を立てやすいのがメリットです。正社員だけでは手がまわらないという医療機関が増えているため、このレセプト業務専門の派遣というスタイルは、今後ますます増えていきそうです。
派遣社員は短時間・短期間労働ばかりではありません。フルタイム勤務で働く人も多くいます。フルタイム勤務の派遣社員を募集するのは、病院や診療所以外にリハビリテーションセンター、介護サービス施設、老人養護施設などが多い傾向にあります。また、医薬品開発会社や企業内の健康増進センターなど、医療関連の企業で募集していることも多く、時給も1500円以上だったりと、やや高めなようです。
派遣社員の場合は即戦力と専門性が求められるため、仕事をするうえで優遇されるのは、経験者であることも現実です。これまでの経験などにより、窓口業務、レセプト業務など、仕事の内容を絞った働き方ができます。逆に、診療所などで一人で窓口業務から会計、レセプト業務まで仕切るという働き方もあります。経験と実績があれば、資格取得の有無はさほど関係ありません。
未経験者であれば、派遣社員として働く場合でも、資格を取得することが必要です。むしろ、派遣社員のほうが、資格取得のための講座で学び、合格したという実績をアピールすることが重要だといえます。医療機関は、人手が足りないために即戦力になる人材を求めている場合が多いので、少なくともレセプト業務の知識を得てから派遣会社に登録したほうが、すぐに働ける可能性が高くなります。そのためにも、資格取得は必須でしょう。
レセプト業務がコンピュータで処理されることが多くなった現在は、経験のある人もパソコンの基本操作ぐらいはできるようになっておく必要があります。ただ、それ以上のスキルを持っても、医療機関によって、使用するソフトやシステムが違うので、詳しくは働きながら覚えていく必要があります。
紹介予定派遣とは、正社員として企業に直接雇用されることを予定した上で、派遣社員として働く形態のことです。まずは一定期間(最長6カ月)を派遣社員として働き、その間に働く側と派遣先企業とが正社員として働く(採用する)かを検討します。派遣期間終了後、雇用条件が一致すれば、正社員になるというものです。2004年から、医療機関に対しても紹介予定派遣が認められるようになりました。正社員になる前に、その職場での仕事が自分に合っているかなどを検討することができ、医療機関もその人の能力や仕事に対する姿勢などを見ることができます。