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医療事務 医療事務の仕事2

レセプト業務

アイコン 保傾診療と自由診療の違い

診療には、大きく分けて保険診療と自由診療の2種類があります。保険診療は、患者が診療費の一部を、残りは保険者(組合・政府・市町村など)が負担をします。自由診療は患者が全額を負担するもので、健康診断や美容整形、分娩などの費用が含まれます。ほかには、難病や慣性疾患の患者に、国が診療費の一部を負担する公費負担医療があります。

アイコン 保険診療費は患者と保険者に請求

日本では、国民皆保険といって、すべての国民が医療保険に入る義務と権利があります。そのため、診療費のほとんどは保険診療によるものとなります。先にも述べた通り、保険で診療した場合、診療費は患者と保険者の双方が負担します。そのため、医療機関は2カ所に診療費を請求しなければなりません。日本の医療保険制度は、左の表のようにいくつかに分かれています。医療保険には、主に健康保険、国民健康保険、共済組合、船員保険などがあります。一般に、民間企業に勤務している人は健康保険、自営業者などは国民健康保険に加入しています。このように保険には多くの種類があり、保険の種類によってそれぞれ患者負担額の割合が異なります。

アイコン 病院経営に関わるレセプト業務とは

医療事務 レセプト

病院の収入は、医業収入といわれます。これは、患者に提供したサービス全般のことです。医業収入のほとんどを占め、病院経営に大きく影響する保険診療費を請求するのが、診療報酬請求業務、一般にレセプト業務といわれる仕事です。医療事務スタッフは、診療行為が終わった後、患者のカルテに記されている診療内容を、項目別に点数で置き換えて診療費を計算します。計算は、約2年おきに改定される診療報酬点数表を見ながら行います。患者の負担分は会計窓口で徴集しますが、保険者へは毎月、診療報酬明細書、別名レセプトという書類を提出して請求します。

アイコン 診療報酬の計算は厚生労働省告示が基準

診療費を計算するには、厚生労働省告示を元にした診療報酬点数表を知っておく必要があります。とはいえ、ほぼ2年おきに改定される点数表を隅から隅まで覚えるのは大変なこと。必要な箇所を要領よく読み取り、すばやく計算する能力が求められます。ただ、最近は診療報酬を計算するレセプトコンピュータ(レセコン)が導入されている病院、診療所が多くなっています。医師が診療行為を記した伝票を元に、コンピュータで入力し、簡単に計算できるようになりました。さらに、伝票入力を行わなくても、診療報酬計算ができるシステムを導入する病院も増えています。

アイコン 病院でのレセプト作成の流れ

レセプトの作成は、病院・診療所だけではなく、歯科医院や調剤薬局でも行われます。診療報酬点数表調剤薬局の場合は、調剤報酬請求業務と呼ばれます。上の図では、一般的な病院の例として、レセプト作成の流れを紹介しています。まず、その月に診療したすべての患者のレセプトを作成したら、医療事務スタッフと医師が再度確認します。その後、患者のレセプトを種類ごとに分け、レセプトの合計を記載した診療報酬請求書を作成します。診療報酬請求書とレセプトを一つに綴じ、審査支払機関に提出し、審査に通れば保険者から診療報酬が支払われることになります。

日本の医療保険の種類
保険制度 保険名 被保険者
医療保険 健康保険 一般被用者
政府管掌健康保険
中小規模事業所の会社員
組合管掌健康保険
健康保険組合が設立されている会社の会社員
日雇労働者
政府管掌健康保険
臨時、または季節的事業に勤務している会社員
国民健康保険 自営業 
医師
土木建築業者など
共済組合 国家・地方公務員
私立学校の教職員
船員保険 船員
退職者医療保険 国民健康保険 退職者とその扶養家族
老人医療 老人保険 75歳以上の老人
65歳以上で障害のある人
公費負担制度 難病や慢性疾患の患者に公費で援助する制度

秘書業務

アイコン 秘書業務も医療事務の仕事

医療事務の仕事といえば、患者へのサービス業務と、レセプト業務がまず思い浮かぶでしょう。しかし、大学病院など比較的大きな規模の病院では、秘書業務という仕事もあります。一般的な秘書業務は、上司のスケジュール管理、データの整理や管理、郵便物の整理、書類のファイリング、出張の手配、電話の応対、来客の応対やお茶出し、所属部署の掃除など、事務的な仕事から、雑務までさまざまです。ただ一般企業の秘書と違い、カルテなどの患者の個人情報にふれるため、医療事務の仕事の基本が身についていることが必要です。病院の中には、医療秘書=医療事務と考え、医療秘書課という部署として独立させているところもあります。ただし、医事課の別名として医療事務の業務全般を行っていることも多いので、秘書業務のみを行う部署なのか、確認が必要です。

アイコン 医療秘書のさまざまな形態

秘書業務は、大きく分けると医療秘書と病棟クラークの二つがあります。医療秘書は、院長秘書、医局秘書、看護部長秘書など、担当する上司によっていくつかの形態があります。病棟クラークは、病棟内での各診療科目、または各病棟にあるナースステーションで、患者に関する事務処理などを行う仕事です。

アイコン スケジュール管理は秘書の基本

医療事務 スケジュール表

秘書業務の中で、もっとも割合が高い仕事が、スケジュール管理です。これは一般的な秘書だけでなく、医療秘書にとっても重要なものです。医師や看護師には、メインの仕事である診療や看護を優先してもらえるように、仕事の流れを管理する必要があるからです。効率よく診療を進められれば、結果的に患者へのサービスがより充実したものになるといえます。医師や看護師は、診察、手術、回診など毎日多くの仕事がつまっています。このスケジュールに合わせて、会議などのほかの予定を入れなくてはならず、その確認は容易ではありません。

アイコン スケジュール表の種類もさまざま

秘書が作成するスケジュール表は、いくつか種類があります。年間スケジュール表、月間予定表、週間業務割り当て表、手術予定表、診察予約表などさまざまです。用途に応じて作成し、適格に使い分ける必要があるでしょう。

アイコン スケジュール表の作成のしかた

スケジュール表を作成するときは念には念を入れる必要があります。医師は、学会や会議、研究会などの重要な集まりが多いため、場所や時間の間違いはあってはなりません。また、会議の出欠席確認書など、必要な書類があれば提出することもあります。また、スケジュール管理の合間に、ほかの事務処理もするため、自分の時間もうまく調整しながら仕事を進めることも大切です。

アイコン 院長秘書は英語能力も必要

大病院の院長秘書になった場合、海外の医師団が病院を訪れたり、国際的な学会に同行することも考えられます。その際は、通訳や翻訳を行わなくてはならないことも。院長秘書として配属されるには、「英語検定2級以上」というような、一定レベル以上の英語能力を持っていることが条件になることもあります。

アイコン 医局秘書は診療科の知識が必要

医局とは、診療科の医師たちが、事務処理や休憩をする控え室のような場所で、主に大学病院や総合病院にあります。医局秘書は、スケジュール管理を始め、資料の整理、医局会議の準備や片づけなどを行い、多くの医師の仕事をサポートします。また、一つの診療科の医局に勤務するため、その診療科目の専門知識も必要です。

アイコン 看護部長秘書は事務的サポート

看護師は、医師とともに医療の現場で働いています。そのため、看護師の事務的なサポートをする秘書がおかれることがあります。ここでいう秘書は、ほとんどが看護部長の直属です。看護部長は、何人もいる看護師の上司という立場上、会議が多く、看護部長秘書は、その準備や会議録の作成などが主な仕事となります。もちろん、他の秘書と同様、スケジュール管理や電話の応対も行います。

アイコン 患者と医師・看護師の間に立つ病棟クラーク

病棟クラークとは、それぞれの病棟にあるナースステーションに配属される医療事務スタッフのこと。患者が入退院するときなどに、事務処理を行います。たとえば、入院台帳や患者カードの整理、病室やベットのネームプレートの作成、ナースステーション内のカルテやレントゲンの整理や管理などです。それらの事務処理をこなし、医師や看護師が、スムーズに診療行為ができるようにするのが役割です。その仕事は、患者と医師・看護師との橋渡し役にもなります。

アイコン パソコンスキルは必須事項

秘書が作成するスケジュール表の作成や管理、情報収集、資料の作成を行ううえで、パソコンのスキルは必要不可欠です。ワードやエクセルなどの基本的な使い方は、マスターしておきたいものです。また、病院によってはホームページを制作していることがあり、医療秘書が担当する場合もあります。