まずは、業種や職種に関わらず、ビジネス社会で基本となる資格・スキル。たとえば語学。グローバル化の進む今、「英会話」は常識となりつつあります。実力を証明するなら「英語検定」最低でも2級以上を。企業の中国進出に伴い、近年、急速にニーズの高まっている「中国語」も狙い目です。パソコンスキルなら「Microsoft Office Specialist」に注目。
パソコン実務能力の証明になり、派遣社員なら給与面でも影響力大です。自分の目指す業界が明確な場合は、業界の専門資格が大きな力になってくれます。たとえばアパレル業界なら色のスペシャリストとして活躍できる「カラーコーディネート」関係の資格、小売・流通業界なら豊富な専門知識で信頼される「販売士」など。また、業種によっては事業所等に有資格者を置くことが法律で義務づけられている「必置資格」を持つことで優位になります。不動産業界における「宅建士」や旅行業界における「旅行業精取扱管理者」、貿易業における「通関士」などは、専門資格でありかつ企業が絶対必要とする資格ですから、必然的にニーズが高く、持っていれば有利。自分の目指す目標や、経歴・キャリアを明確にして、より自分らしい資格にチャレンジしましょう。
どうすれば資格が取れるのか、勉強方法はいろいろあるけれど、その資格を取るのに適した方法はどんな方法なのか、どれくらいの期間がかかるのか。自分の生活パターンに適した取得の方法を見つけてください。
資格取得に当たっては、自分の年齢を考慮に入れる必要があります。資格を取得するまでの勉強期間や資格を生かして仕事ができるかの両面で、現在の自分の年齢にふさわしい資格かどうかを考えます。
肉体的には疲れを知らない年頃ですし、精神的にも10代に比べれば、ずっと大人になってきています。難関といわれる業務独占資格の弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、不動産鑑定士などの資格に挑戦するのもいいでしょう。また、若い肉体を生かす各スポーツのインストラクターやトレーナー、やわらかい頭脳を求められる情報分野もいいでしょう。いってみれば、20代は資格取得の年齢としては、無敵の世代といえるでしょう。
20代に比べれば、ずいぶんと実社会でキャリアを積み、将来の方向だんだんとつかめてきた世代です。税理士、中小企業診断士、土地家屋調査士などがお勤めです。また、ファイナンシャルプランナーや消費生活アドバイザーなども経験を生かせる資格です。40代ほどではないにしても、30代後半にさしかかったら、定年後を視野に入れることも必要でしょう。
これまでの経験をさらにキャリアップできるような資格を目指します。事務系ならば、社会保険労務士や司法書士などもいいでしょう。また、訪問介護員や介護支援専門員などの福祉分野も有望です。この分野は年齢制限がゆるく、これまでのキャリアからの転進を図りたい人にも勧められる資格です。
転進といえば、40代後半ともなると、出向を命じられるサラリーマンも少なくありません。また、営業一筋で働いてきた人など、定年後のことを考えると「ツブシがきかない」を不安に思う人もいます。こんな時、これまでのキャリアをすっぱり捨てて、できるだけ異業種の出向を希望して、新しい世界に飛び込んで、思いもよらない資格を取得し、定年後の生活設計を考えるのもひとつの生き方です。
やはり何歳で転職するにしても、その資格を取得後にどうやって就職に活かすか、稼ぎに活かせるかが問題になります。そういう意味でも単なる「資格マニア」で終わらないように、転職後の第2の人生に何を目指すかをじっくりと考え、それを実現するためにどんな資格を何歳ぐらいに取ったらいいのでしょうか。
資格の取り方の注意点については、まず比較的取りやすい「下位資格」から手始めに取り、だんだんとより難しい「上位資格」へと移行していくこと。たとえば大学や専門学校在学中に簿記の4級~1級を取得しておき、就職してから税理士(合格率12.7%)に挑むなどが考えられます。今の時代、「資格さえ取れば人生蓄薇色」とは言えません。資格取得はあくまで「スタート台に立つ権利」を得るにすぎません。取得後にどうやって就職に活かすかが問題です。あるいは昇進や異動に結びつくキャリアとして活かす手もあります。
「2007年問題」と言われた団塊の世代の定年後、第2の人生のスタートや、40歳代後半の転身にも役立つかもしれません。いわば「持っていてけっして損はない、持っていないと不利」とも言える、「転ばぬ先の杖」として活かしていく、これからの時代に行き残るために隠し持っていたい武器のようなものだと思ってください。さあ、あなたも「資格」を手にして世の中にはばたいていってください。